画像生成AIは大量のデータを長い時間をかけて学習し、徐々に画像の生成が上達していく。学習を始めた初期のAIは意味をなさない模様を生成するが、学習が進むにつれ入力したデータに近いものを生成できるようになる。
本作品ではAIに絵画を大量に学習させ、実際の絵画のような画像を生成できるようにさせた後に、AIの一部を学習初期の画像生成が拙い状態のものに入れ替える。その結果このAIは絵画的色彩を学習しながらも、具象的なものが一切生成できない。
本作で私はこのAIに写真を入力し、入力に近い画像を生成させた。また、鑑賞者も自ら写真を撮り、画像を生成させることができる。鑑賞者は自らが何かを考えてシャッター切った画像が、AIによって解釈され別物になる過程を通じて、異質な知性としてのAIの存在を目の当たりにする。
現在の生成AIは、使用者が欲する画像を思い通りに生成するための道具として使用されている。それに対して本作は、我々とは異なる方法で世界を認識し、解釈を行うことができるAIの、表現者としての可能性を再考する試みである。

Thanks : 新宿眼科画廊
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